【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第14章 夢見る隙間 ☆
その頃
「…やばい。…どっちなの…」
例のゲームの攻略対象、ルカくんを前にわたしは真剣な顔で考える。
水族館にデートで来たのはいいけど、イルカショーかクラゲアート、どちらに行けばルカくんが喜ぶのか。
ここで間違えたら絶対好感度下がる!
デート失敗なんて絶対だめ!!
10分ほど悩んだ挙句、わたしは意を決してイルカショーを選択した。
[うん。俺イルカショー好き。じゃあ行こうか]
ルカくんが微笑むのを見て、わたしはホッッと胸を撫で下ろした。
「うわぁぁよかった…笑ってくれた…すき…」
そう。わたしはあんなに乗り気じゃなかったくせに、あっさりと恋に落ちている。
このゲーム、結構面白いかも。
よく出来ていて、ゲームを進めるに連れてルカくんとの距離が縮まっている感じがする。
最初は、一緒に帰ろって言っても断られ、デートに行ってもつまんなそうにされていたが、だんだんといろんな話をしてくれるようになってきた。
まるでリアルな恋愛みたい。
わたしが攻略対象としてるルカくんは、王子様みたいな見た目の不良。
普段は飄々としているくせに、時折寂しそうな一面を見せる という、何ともありがちな設定なのだが、これが意外とハマってしまった。
二次元なんだから顔が美人なのは当たり前だけど、ルカくんの色気は凄まじい。
しかも、声もいい。程よく低いのに甘い声。
これは女の子ならみんな好きになるんじゃない??
ちなみにわたしはゲームを始めて20秒で推しが決まった。
他の男の子には目もくれず、毎週のようにルカくんにデートを申し込み、さらにはルカくんと同じバイト先に入るという、現実世界にいたらなかなかのヤバい女っぷりを発揮している。
そんなわたしをルカくんはいつも優しく接してくれている。
「ルカくん…」
ハマらなかったらどうしようとか考えていたけど、そんな心配は一切なく
ソファーの上で寝転がりながらポチポチとルカくんとのデートを重ねていて、ルカくんがたまーにくれる甘い言葉に翻弄されながら、わたしは赤井さんから着信があったことなんて全く気付かなかった。