【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第13章 ベイビー・アイラブユー ☆
赤井side
壮絶な人生に、俺はなんて言葉を掛けてやればいいかわからなかった。
いや、俺も似たようなものだ。
父が死に、その真相を突き止めるためにFBIに入った自分と重なって見えた。
サラは、話し終えると続けて言った。
「最初はね、FBIと一緒に暮らすなんて最悪ーって思ったんだよ?
でも、赤井さんは、当たり前みたいにわたしの朝ごはんを作ってくれて、手を引いて買い物に連れてってくれて、抱きしめてくれて、わたしが苦しくて死にそうな時にそばにいてくれた。」
サラは俺の胸に必死にしがみつくように寄り添い、俺はサラの髪を撫でた。
「赤井さんはわたしの望んでたことを全部叶えてくれるから、赤井さんに出会って、毎日がカラフルに色づいたような気がして、大好きになって、過去も未来も全部欲しくなるぐらい、独り占めしたくなるぐらい好きで」
そこまで言うと、サラは声を震わせながら続ける。
「だから、怖いの。
…人の気持ちって、変わるでしょ?
わたしも赤井さんも、前は他の人を愛していたから、そのうち赤井さんがわたしの前から居なくなるのが怖い。怖いの…」
「サラ…」
「わたし、どうすればいい?
またひとりぼっちになるのが怖いよ…
無くすのが怖い。どうしたらいいの。」
それは、サラが俺に見せた真の弱みで、肩を震わせながら必死に自分の言葉を紡いでいた。
自分の心の傷を、サラは初めて俺に見せてくれた。
俺は、何を返してやれるだろう。
どうしたら、サラを安心させることができる…?
数分考えて、俺は言葉を探した。
「…俺が言葉で何を言っても、その不安は無くならんだろうな。
先のことなんか、誰にもわからない。
だが、俺は一度死んだ人間だ。
お前もな。そんな修羅場を潜ったのに、この先怖いものなんてあるか?」
「あるよ。
例えば、赤井さんの前に宮野明美さんそっくりな女の人が現れて、わたしなんかよりもそっちの方が好きになるかも知れないじゃない。」