【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第13章 ベイビー・アイラブユー ☆
薬物による事故死って報道されたけど、あるジャーナリズム雑誌を見ると、殺された可能性があるって事を知った。
そして、タクミが死んだ日も雷雨の夜で、光景も両親の死に様と全く同じだった。
わたしは、寝る間も惜しんで調べた。
闇サイトにアクセスしたり、両親の死ももう一度ちゃんと調べ直したり。
そして、あの黒の組織が絡んでいるかもしれないと突き止めたの。
わたしは、あの組織の中に両親とタクミを殺した人間がいると思い、あの組織に潜入するために別の組織の諜報員になった。
死にものぐるいで、あらゆる能力を得た。
多種多様な格闘技に銃火器の使用技術。
血の滲むような努力をして、わたしはその組織のエースポジションまで上り詰めた。
怖いものなんてなかった。
死さえ、怖くなかったもの。
けれど結局、わたしは黒の組織に雇われる側になってしまった。
わたしが入ってから、わたしが所属していた組織と黒の組織は密に連携を取るようになっていて、目的とは裏腹にわたしは組織に手を貸す形になって行った。
それでも任務をこなしていると、死と隣り合わせのスリルが、わたしに生を実感させてくれて、いつの間にか両親とかタクミのためじゃなく、自分のために諜報活動を楽しむようになってしまった。
戦う相手の人数が多ければ多いほど、ミッションの内容が危険であればあるほど
無事に帰還できた時に、生きてる…って実感する。
その快感を得たくて、ひたすらに諜報活動をしていた。
けど、ふと思った。
10歳で止まっているわたしの幸せは、もうこのままこの闇の中で消えちゃうのかなって。
このまま、誰からも愛されず、人を傷つけることを楽しんで、そしていつかバチが当たって死ぬ
そんな人生、わたしの両親が望んでいたのかなって、思うようになった。
ママはいつも言ってた。
「わたしはパパを世界で一番愛してる。
あなたにもいつか、そういう人ができるのが楽しみね」
って。
そんなママが、わたしの今を見たら、なんて言うだろう。
きっと悲しい顔をするだろうな…。そう思うようになってきた。
だから、わたしは裏の世界から足を洗ったの。
海に飛び込んで、死んだフリをして。
普通の生活をしたくて、普通に誰かと出会って、恋をして、平和の中で普通に生きていきたい。そう思って。
そして赤井さんに出会った。