【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第13章 ベイビー・アイラブユー ☆
わたしの10歳の誕生日の前の日、子供部屋で寝ていたわたしは、大きな雷の音で目が覚めた。
目を閉じても、なかなか眠れなくて、たまらず両親と一緒に寝ようと、両親の寝室に足を運んだの。
寝室のドアを開けると暗闇の中、変な匂いがした。
今となってはそれが血の匂いだったってわかるんだけど、当時のわたしにはピンと来ず、部屋に入って両親のベッドに潜り込もうとした。
その時、雷が光って部屋が明るくなって、ベッドが真っ赤に染まっているのを目の当たりにした。
恐る恐る、両親の手を握ると、まるで作り物みたいに冷たくて、いくら呼び掛けても返事はない。
「パパ?…ママ?」
だんだん不安になってきたときもう一度雷が光って、両親の変わり果てた姿を目視した。
一瞬、何が起きたのかわからなくて、わたしの知ってる両親の顔じゃなくて夢見たいな心地で放心状態でいると、誰かが歩いてくる靴音が聞こえた。
子供ながらに、危険を察知したわたしは、両親の寝室のクローゼットに隠れた。
息を殺して、自分が殺されるかもしれない恐怖を10分間味わったの。
怖くて、怖くてしかたなくていつのまにか気を失っていて、気づいたら病院のベッドの上だった。
両親は死んだんだよ。って10歳の子供に言う大人はいなくて、わたしは何も詳しいことは話されずに孤児院に引き取られることになった。
そこから7年。
17になるまでのわたしは、生きてるか死んでるか分からないような日々を過ごしてた。
人に心を許せなくて、友達も出来ず、孤児院では世話はしてくれたけど愛は与えられず、物事全部、斜に構えて生きてた。
ああ。いつ死んでもいいな。誰か殺してくれないかな。
そんな風に思ってた。
そんなとき出会ったのがタクミだった。
タクミが落とした携帯をひろったのがきっかけで。
薬指の指輪にはすぐ気付いたけど、気付かないふりをした。
連絡が来るのは彼がアメリカに来た時だけで、タクミと一緒に朝を迎えたことはなかった。
夜中のうちに帰っちゃうから。
タクミにとって、ただの気まぐれで、それでもわたしは嬉しかった。誰かと身体だけでも繋がってられるのが嬉しくて、タクミの言動ひとつひとつが嬉しくて、嫌というほど全部覚えてる。
そんな中、タクミが死んだってニュースが舞い込んできた。