【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第13章 ベイビー・アイラブユー ☆
あれから数日経ったけど、どうしてもわたしの気持ちは晴れない。
わたしの心に根強く残る、恐怖心
わたしが愛した人はいなくなってしまう。
その事実が、赤井さんに依存することにストッパーをかけている。
失った時の絶望感。
あれをもう一度味わうなら1人の方がマシだ。
そう思ってしまう。
赤井さんが、車で送ってくれようとしたのを、わたしは拒絶した。
最低だ。心配して声をかけてくれたのに。
でも、このまま赤井さん無しで生きられない身体になってしまうのが怖いの。ものすごく。
ポアロに着くと、安室さんはいなかった。
急な用事が出来たらしいと梓さんは言う。
黒の組織関連か、公安関連か。
忙しい人だなあの人は。
でも、少しホッとしている自分がいる。
安室さんに会うと、現実に引き戻される。
黒の組織のことも、赤井さんのことも、ぜんぶ正攻法でわたしの闇を突いてくる。
わたしが見て見ぬふりをしていたことを全部白日の元に晒される。
今日は朝からずっと雨で、梓さんは天気予報を見ながらポツリと呟いた。
「やだ。今晩は雷雨ですって。
早めにお店閉めた方がいいかも」
雷…わたしの心臓がドクンと鳴る。
思い出したく無い記憶がまたフラッシュバックするのを、わたしは目をぎゅっと閉じて回避した。
今夜は、早めに寝てしまおう。
きっとこんな気持ち、時間が経てば薄らいで、また何もなかったみたいに赤井さんと触れ合える。
何日も寝て、起きて、早く忘れたい。
きっと赤井さんは、わたしの態度を不審に思ってる。
そして、何も話さないわたしにきっと呆れてる。
だけど、どうしようもない。
わたしはずっと自分の過去から逃げ続けて来た。
そして、あの出来事についてはこれまで誰にも話したことはない。
ずっと自分の心の中だけで深い傷として住み着いてる。
そんな傷を赤井さんに見せるのも怖い。
怖いことだらけだ。
そんな事を思いながら、わたしはまだ慣れないバイトを必死にこなした。