【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第12章 BlueDaisy ♪
帰り道、相変わらずわたしは安室さんの車に乗っていて、車内に2人きりになった。
まぁでもあとは帰るだけだし…何となくホッとしたような気持ちで、窓から景色を眺めていると、前を走るスバルが信号を直進した瞬間、安室さんはこの車を急遽右折させた。
ギュルルルル
タイヤの音が響いて思わず目を瞑ると、目の前にスバルの車はなく、あっさりと巻いてしまった。
「どこ行くの?」
「君に大事な話があってね。」
そう言って安室さんは車を走らせ、しばらく行くと目の前に海が広がった。
海が見えるように車を停めると、安室さんは笑って言う。
「デートっぽいだろ?」
そうか。今日はデートだった。
すっかり忘れていて、わたしは思わず背筋がピンと伸びた。
「話って何?」
「3つ。ひとつ目は、バイトの事です。
昨日店長に話したら、OKでしたよ。
しばらくは僕と同じシフトで勤務です。
ま、僕は職業柄、突然休むことはあるけど」
「あ、ありがとう。助かったよ。」
なんだ。バイトの話か。身構えて損した。
そんなふうに思っていると、2つ目の話にわたしの身体は凍りついた。
「2つ目は、ジンが君の死を少し怪しんでいるようです。
死体が上がってきていないからね。」
ドクン…と心臓が鳴る。
あのジンの冷たい瞳に見られている気がして恐怖でつい唇が震えた。
「まぁ、君の所属していた諜報組織は死亡したと思っているみたいだし、ジンは他に沢山やることもあるので、恐らく見つかることはないでしょうが、念のため警戒しておいてください。」
「…そう…だね。…ありがとう。
安室さんにとっても立場危うくなるかもしれないのに、こうして伝えてくれて」
そう言うと、安室さんは優しく微笑みながらこちらを見た。
なんだか、調子が狂ってしまう。
いっそのこと、襲い掛かってくれれば、全力で拒否してもう二度と近寄らないでって言えるのに。
「あの、3つ目は?」
2つ目の内容が内容だっただけに、3つ目を聞くのが怖くなっている自分がいる。
「3つ目は、君を家まで送ったときに話しますよ」
そう言って安室さんは、停めていた車をまた発進させた。