【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第2章 嘆きのキス
「焦げ臭いな」
そう言いながらキッチンカウンターの方へ来た赤井さんはわたしの方を見て言った。
「どうした?」
「……ハンバーグ作ったの。でも、全然上手くできなくて…。」
「慣れないことするな。
俺が帰ってくるまで待てなかったのか?そんなに腹が…」
「そうじゃなくて!
…赤井さんに喜んで欲しかったの。
このところお世話になりっぱなしだったから。」
そこまで言うと、勝手に涙がボロボロと溢れた。
俯くわたしのそばにきた赤井さんは、
菜箸を使って黒焦げになったハンバーグを食べた。
「…おいしくないでしょ?」
「独特な味だな」
「遠慮せずまずいって言っていいんだよ。」
そこまで言った時、赤井さんはわたしの手を引いて自分の腕の中にわたしの身体を閉じ込めた。
ぎゅ…と突然抱きしめられたわたしは、目を丸くするだけでどうしていいかわからない。
「あか…いさん?」
「ありがとう。」
その優しさに、また別の涙が溢れる。
数日一緒に過ごしてわかった。
このひと、思っていた人と全然違う。
優しくて、安心する。
「あの…わたしこうやって誰かに抱きしめられたことないから…こんなときどう反応すればいいの?」
「そうだな。嫌なら押しのけるべきだな」
「…嫌じゃなければ?」
「…抱きしめ返せばいいんじゃないか?」
こんなわたしが抱きしめ返してもいいんだ。
心が満たされて行く感覚がして、
わたしは赤井さんの背中に手を添えた。
きゅ…と少し頼りなく赤井さんに抱きしめ返すと、赤井さんはわたしを抱きしめる力をもっと強めた。
少し薫るタバコの匂いが妙に心地よくて
このまま少しだけでも時間が止まれば良いのに。
そう思った。