【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第11章 NORA☆ ♪
さっきまで可愛く怒っていた女はどこにいったのか。
ハンドガンを構えるサラはあのジェーンのままだった。
よく〇〇を持つと人格が代わる と言うが、サラの場合は銃を持つと途端にスイッチが入るらしい。
「サラ。よく狙って撃て。
あくまで狙うのはタイヤだ」
「任せて」
そう言ってサラは両手でハンドガンを構え直し、照準を定める。
「無茶よ!タイヤのエア漏れで車が揺れているのに拳銃の照準を定めるなんて」
「規則的な振動なら…計算できる…」
その俺の言葉のすぐ後、俺とサラは同時に引き金を引いた。
ドン!
二つの音のタイミングが綺麗に重なり、大きな一つの音が響いた。
俺が撃った弾は右前輪のタイヤへ。そしてサラが撃った弾は、左前輪と左後輪のタイヤを貫通して撃ち抜いた。
後ろを追いかけてきた車は大きくバランスを崩し、ガードレールに激突している。
何なら左タイヤは全滅で、右後輪のタイヤしか生きていない。
「お前…やり過ぎだ」
「この方が確実でしょ?」
俺がたしなめると、サラは悪びれもなく笑った。
容赦ないな全く。
そんな俺たちのやりとりを見て、よりキャメルが不思議そうに聞いた。
「何者なんですか…その女性…赤井さんと互角の射撃スキルって…」
「でも、追ってこないってことは成功ね!」
「戻れ。キャメル」
「えっ!は、はい!わかりました!」
せっかく撒いたのに…と言わんばかりのジョディをよそに、キャメルは至って従順に俺の言うことを聞いて、車を引き返した。