第11章 NORA☆　♪

突然現れた女と、意味のわからないことで言い合いを繰り返す俺を、ジョディとキャメルは目を丸くして聞いている。


「ちょ、ちょっと秀！誰なのその子！」

「俺の飼い猫だよ」


サラの肩に手を回しながらそう言うと、サラは俺の方を見て怒りながら言う。


「ちょっと！猫って言った？今！
わたしのこと飼い猫って思ってたの！？」


説明を端折りすぎて、サラは怒るわジョディは困惑するわで、この空間、キャメルが1番の被害者だ。


「5秒だ キャメル」

「え？」

「5秒間、ハンドルと速度を固定しろ…このくだらんチェイスにケリをつけてやる…」

「りょ、了解！！」

「サラ。お前を連れて来たのはこのためだ」


そう言いながら俺は、隣でプリプリ怒っているサラにハンドガンを一丁手渡した。

そして、後ろに追いかけてきている車の方へ目線を送ると、サラは察したようにニヤッと笑った。


「なるほど。赤井さんどっちを狙う？」

「俺は右だ。」

「じゃあ、わたしは左ね」


そう言ってサラは説明を一切聞かずに、後部座席からハンドガンを構えた。