第10章 first love ☆

園子さん、真純、蘭さんコナンくんの順番で家まで送り、車内に2人になるとサラはぼーっと助手席で窓の外を見ている。

さっきから口数が妙に減ったが、何か考え事か…
そう思っていると、サラが呟いた。

「ヤリマンだって。わたし」


ぽつりと零しながら、初めての時を思い出しているのだろうか。


「気にするな」

「…確かに、他の人から見ればそうかも。
そりゃそうだよねー。
その日初めて会った人と初体験だもん。」


フッと悲しそうに笑って、サラは続けた。


「でも、あの頃わたしは空っぽで、タクミだけはそんな空っぽなわたしを理解してくれた。
遊びだったのはわかってるよ。
実際、この一回で終わるんだろうなーって思ったし。
けど、また会ってくれたもの。
2回目も、3回目も4回目も。
タクミに呼ばれると、どこに居てもパレスまで走った。
全部覚えてる。」


そう言ってサラは声を震わせながら言った。


「わたしにとっては、大切だったの…」


俺は、何故7年前にこいつと出会わなかったのか。
空っぽだったサラを見つけるのは俺がよかった。
そんなどうしようもない事を考えながら
俺は、工藤邸へと向かっていた道を逸らした。


「？…家、こっちじゃないよね？どこに行くの？」


サラの声を無視して、ハンドルを握った。
サラはそれ以上詮索するのを辞め、また窓の外を見た。