【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第10章 first love ☆
落ち着け…ここでわたしが暴れたら、蘭ちゃん達にもう誘ってもらえなくなる…
そう思い、トイレの鏡の前で何度か深呼吸して、心を落ち着けると、席に戻ろうとトイレの入り口のドアを開けた。
すると、男のうち1人がトイレの入り口前に通せんぼする形で立っている。
「ね、今から抜けてどっか行かない?」
「行かない。どいて」
「俺、君みたいな気の強い女の子好きなんだよね。」
わたしの言葉なんて全く聞く耳を持たないその人は、わたしの腕を掴み、耳元でこう言う。
「初めて会った男とでもヤレるんだろ?
じゃあ俺とも余裕じゃん」
完全にバカにされた表情でそう言われ、ムカッッッときたわたしは、わたしの腕を掴む男の腕を捻り上げようとした。
その時
「いててててて」
わたしがやるより前に、その男の後ろから誰かが男のもう片方の腕を捻り上げた。
わたしは慌てて男の後ろを覗くと、よく見た顔がめちゃめちゃ怒った顔をしていて、思わず声を上げた。
「お、沖矢さん!」
「痛えよ!誰だお前」
「ホォー。人の女に手を出そうとしておいて、よくそんな口が聞けるな」
沖矢さん…口調が完全に赤井さんになってます…
片目も開いてるし…
「お、沖矢さん…落ち着いて…」
どうしてわたしが宥め役にまわっているの…
「な、何だよ…!お前この子の男か?
はっ。彼氏がいる癖に合コンくるヤリマン女なんてやめといた方が身のためだぜ」
その言葉を聞いて、沖矢さんは男の顔面目掛けて拳を繰り出した。
まずい。ここで問題起こして警察沙汰になったら下手すると赤井秀一だってバレるんじゃ
そう思ったわたしは咄嗟に沖矢さんと男の間に入り、沖矢さんの拳を自分の手のひらで受け止めた。
流石にFBIの男が繰り出す拳は重く、ビリビリと痺れる。
わたしの後ろで男は恐怖のあまり腰を抜かして、慌てて店から出て行った。
「何故止めた」
「あんな男、殴る価値もないでしょ」
そう宥めても納得のいっていないような顔をした沖矢さんは、ため息をつきながらわたしの手を取った。
「痛かったか?」
「ちょっとね。さすがFBIのエース」
「悪かった」
そう言って沖矢さんはわたしの手のひらにキスをした。
それだけで、さっきの痺れなんてすぐに飛んで行っちゃう。