【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第83章 最終話 You belong with me ☆
大人気なくサラのスマホをヒョイっと取り上げると、手を伸ばして文句を言いながら口を尖らせた。
「もおー!返してよー!」
そう言いながら、スマホを取り戻そうと俺にしがみついてくるサラを、俺は罠にかけたみたいにギュッと抱きしめた。
「サラ。悪い…明日は帰れないかもしれない」
「そっか、わかった。セリーナさんとショッピングに行く約束してるから気にしないで?」
「…寂しくないのか?」
サラがあまりにもケロッとしているので、俺はついつい本音が出た。
俺はサラに触れたくて、毎日でも会いたくて、たまらなく好きだ。
サラも変わらず同じ気持ちでいてくれているか?
俺のこと、いなくても大丈夫な存在になっていないか?
なんて、俺の忙しさが原因の癖にな。
すると、サラは俺の方をじろっと睨みながら口を尖らせた。
「なんでそんなこと言うの?」
「…俺が帰って来なくても、平気そうだから」
「平気なわけないでしょ?」
そう言うと、サラは我慢していたのかポロポロと涙をこぼしながら俺を見た。
久しぶりにサラの涙を見た気がして、俺は焦りながらその涙を指で拭う。
「何も泣くこと…」
「だって秀一が、わたしは秀一に会えなくて平気そう。みたいに言うから!
…全然平気じゃないもん…本当は毎日一緒にいたい…
日本にいた時みたいに、毎日一緒に眠りたいよ…
でも、そんなこと言っても秀一の仕事の邪魔になるだけでしょ?
…だから、せめて会える時は笑顔でいようって…思ってたのに」
サラがそんな風に思っていたとは、わからなかった。
結婚して夫婦になったのに、サラの心をちゃんと理解してやれていなかったんだな…
表面に見えるサラの笑顔だけ見て、勝手に平気なんだと思っていた自分に、心底嫌気がさす。
俺は泣いているサラを腕の中に閉じ込め、髪を撫でながら言う。
「悪かった…寂しくないわけがないのに。
サラ…今日は朝まで一緒に寝よう。
ずっと、手を繋いでいるから」
「…ほんと?深夜に電話が来ても行かない?」
「電源切っておく」
そう言うと俺は、自分のスマホの電源をオフにした。