【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第82章 ひまわりの約束 ☆
両手でぐしぐしと涙を拭いて、今度はわたしが秀一に尋ねた。
「…秀一は、明美さんに何か伝えた?」
「…」
「っ…ごめん、いいの。言わなくていい。
2人だけの言葉だもんね」
少し間が空いたことで、言いたくないんだと思ったわたしは慌ててそう笑ったけど、秀一はわたしの手を握りながら口を開いた。
「すまなかった。と伝えた」
「…どうして?」
「彼女の気持ちにも、自分の気持ちにも、気付くのが遅すぎたからな。
…すまなかったと。」
「そっか…」
彼女に伝えたのが、「ありがとう」でも「好きだった」でも「愛してた」でも無い。
秀一から発せられたごめんの一言からひしひしと感じた。
彼女のことを好きだと気づいた時には遅かったこと。
偽りの恋人を、守れなかったことの大きさを。
きっと秀一はこれからもこの贖罪を背負っていく。
そんな彼を、隣で支えたい。
そう思って秀一の手をぎゅっと握ると、それに気づいた彼は少し微笑みながら言った。
「それと、サラのことを紹介しておいた」
「わたし?」
「誰よりも大切に思える人ができた。
俺の最愛の妻だと」
「…明美さん、何か言ってた?」
「幸せにしてあげて。と」
「そっか…うん。幸せにしてもらう」
わざとそう言って笑って見せると、秀一も笑みを浮かべながらわたしの頭を撫でた。
「そろそろ行こうか」
「うん」
「次に来るときは、良い報告ができる時だ。
必ず、仇を取る。
お前の両親の分もな」
「そうだね」
墓前でそう誓うと、わたしと秀一は手を繋いで明美さんのお墓を後にした。
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