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【R18】You belong with me 【赤井秀一】

第82章 ひまわりの約束 ☆




そこには何も書かれていない墓標が立っていた。



「ここ…」

「FBIが秘密裏に埋葬したとジェイムズから聞いた。
…本当は、組織を潰すまでは来ないと決めていた。
だが、きちんとけじめをつけなければな」

「宮野明美さんが眠ってるの?」

「…そうだ」


それを聞いて、もう一度墓を見つめると自然と涙が溢れた。


「っ…」

「…やっぱり、嫌だったか?ここに来るのは」

「違う!…お墓に、名前も書いてもらえないなんて…
たった1人でここにいるの、寂しいよ…きっと」


本当なら、両親と同じ場所で
いつでも誰かが参ってくれて
妹の…哀ちゃんも想いを馳せる。

そんな場所になるはずなのに。

彼女の気持ちは、きっとわたしになんて分かるはずないけど、寂しいだろうと言うことだけは感じ取れ、ボロボロと涙が溢れた。

秀一はわたしの頭を撫でながら笑った。


「ありがとう。あいつを思って泣いてくれて」


その手が温かくて、もっと涙が溢れたわたしは鼻をずびずび啜りながらブンブンと首を振った。


秀一は持って来た花束を墓に手向けた。


「ひまわりみたいな人だったの?」


彼が選んだのは、ひまわりをベースにした明るい花束。
明美さんのイメージなのかなと思った。


「そうだな。…いつも笑っていた。
俺が騙していたと知った時も」


秀一はそう言うと、その瞬間を思い出すかのように目を閉じて手を合わせた。

わたしも同じように、彼の隣で手を合わせる。

不思議だ。
秀一と付き合い始めた頃は、一切受け入れられなかった彼の前の恋。
今は穏やかな心で話を聞ける。
もっとはやく、秀一から明美さんの話を聞いてあげれば良かった。
もっと広い心を持ててたら良かった。
ほんの少し後悔した。


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