第81章 恋人じゃなくなった日　☆

ドンッ


「っ！？！」


俺の唇はサラに重なることなく、宙を仰いだ。

ハワイの幻想的な夕焼けが視界に入ったかと思えば、そのまま俺の身体は背中からプールにドボンと音を立てて落ちた。


バシャッ…


水飛沫が待って、鼻に水が入り、まさかの展開にゲホゲホと目を丸くしてサラを見ると、サラはキャッキャと嬉しそうに笑う。


「ひっかかったー！」

「お前…」


俺の好きに漬け込んでこの子は…と、怒りもせずに結局可愛いと思ってしまう末期な俺。

顔にかかった水を手で拭い、そのまま髪をかき上げたとき、サラは楽しそうに笑った。


「ねえ、わたしも入るから受け止めてね？」

「？！」


その次の瞬間、俺の目の前にウエディングドレスを着た女が降ってきた。


ザバーーーンッ


俺が落ちた時よりもさらに大きい水飛沫が舞う中、俺はその女神を両手で抱き留める。

水に浸かってズシンと重くなったドレス姿のサラ。
これが、俺がこれから一生をかけて守っていくものの重みだ。


「秀一」

「ん？」

「I love you . Forever and always (愛してる。いつまでも永遠に)」

「I love you too.」


唇を近づけながら愛してるを交わし合い、そしてキスを交わす。

天体観測の時間まで、まだしばらくあるな…
そんな欲張りなことを思いながら、愛しい女の唇を堪能し、肌に手を滑らせた。

全部、愛でたいんだ。


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