【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第81章 恋人じゃなくなった日 ☆
「チーク、リップはコーラル系を使うことが多いです…
アイメイクはブラウン系で…」
「かしこまりました」
そんなアバウトな説明でも、さすがはプロ。
広げたコスメの中でわたしが可愛い…と思った色をピンポイントでチョイスして肌に乗せていく。
「ヘアスタイルはどのようにしましょう?」
「どのようにって言われましても…」
「ダウンスタイルかアップスタイル、どちらがお好みですか?」
「じゃあ、おろしておいてもらって…」
「かしこまりました」
とりあえず尋ねてくるものの、この曖昧な回答を元に後はテキパキと手を動かすお二方。
一体なんなの…
聞いても答えが得られる望みがなく、これは何ですか?と聞くのは完全に諦めたわたし。
大人しく彼女たちの手にかかり、いつもの2倍ぐらい華やかなメイクに、綿密に計算されたゆる巻きのダウンスタイルが完成した。
「では、次はこちらへ」
「まだ何かあるんですか…」
もういい加減、答えを教えてよー。
と、後ろをついて行き、違う部屋の扉が開かれた時
その答えが突如としてわたしの目の前に展開された。
その部屋は一面、純白のドレスが所狭しと並んでいる。
「うそ…」
目を見開いて固まるわたしに、メイクをしてくれた女性が誘導した。
「こちらは、新郎様がお持ちになったドレスです。」
そう言いながら魅せられたのは、胸元はビジューが散りばめられてキラキラと光っていて、チュール部分はレースの刺繍が繊細なAラインのウエディングドレス。
あれはわたしが記憶を失う前、確かジョディさんの誕生日プレゼントを沖矢さんと買いに行った時にドレスショップで一目惚れしていた、あのドレスだ。
「どうして…」
「気に入らないかもしれないから他にも選択肢を用意しておいてほしいと。どれになさいますか?」
そう聞かれるけれど、決まってる。
「これがいいです」
見てたの?わたしがあの時このドレスに見惚れていたのを。
このドレスを着て、いつか赤井さんの隣に立てたらいいなーって思ってたの、どうしてわかったの?
さっき、新郎様って言ったよ?
ねえ、こんなことってある?
とんでもないサプライズの連続に、頭がパンクしそうなわたし。
コルセットを絞められ、ドレスを着用し、レースのグローブにティアラ、ヴェールをセットされる。