第80章 Marry's Song ☆

「サラさーん」



…ん…誰…？


コンコンコンッ


「サラさーん、昴さんー？」


この声は…歩美ちゃん…


え！！


ガバッと身体を起こすとわたしはコテージのベッドの中。

あれ？わたし昨日…バスルームで赤井さんと…


自分でベッドに入った記憶が皆無。
いつの間にか気を失い、赤井さんにベッドまで運ばれたんだろうか…


そしてふと隣を見ると、赤井さんが珍しく深い夢の中らしく、すーすーと寝息を立てて眠っている。


「っ…寝顔、好きだなぁ…」


彼の端正な寝顔を眺めては、はぁ…とため息を吐いた。
仕事中は四方八方に鋭く目を光らせてる狼みたいな彼なのに、こんなふうに無防備な姿を見せるのはわたしの隣にいると安心するから？

なんて。


そんなこと思いながら、ふふふと笑みをこぼして眠る赤井さんの頬にキスをした。


「好きだよ。赤井さん」

「ん…」


それに気づいたのか、赤井さんはぱち…と目を開けた。

わたしの顔を視界にとらえると、嬉しそうに微笑みながらわたしの髪に触れる。


「おはよう、サラ」


そしてゆっくりと唇を近づけてくる。
朝からキスできるなんて、幸せ…


もう完全に2人の世界で、さっき誰かがコテージのドアをノックしたことなんてすっかり忘れていた。


「変ですねぇー！まだ寝てるんじゃないですか？」


ガチャガチャッ


「お。開いてるみてぇだぞ」

「おいお前ら！勝手に…」

「お寝坊さんなら起こしてあげなきゃね。
すーばーるさーーん、サラさーん」


そんなやり取りがハッキリと聞こえたわたしは思わず赤井さんをベッドの中に布団でガバッと閉じ込めた。