第80章 Marry's Song ☆

ちょうどその時、子供たちがベッドルームに入ってきた。
まさに危機一髪だ。


「あれえ？サラさん起きてるー！」

「あははは！おはようー！」

「昴さんはまだ寝てるんですか？」

「そ、そうなの！そろそろ起きると思うよ？」


冷や汗を大量にかきながらも平静を装い対応するわたし。
布団の中では沖矢昴の本当の姿、赤井秀一がいるのだから当然だ。


「なんだよ。布団かぶってちゃ起きられねえぞ？
俺が布団取ってやる」

「わーーー！ダメダメダメ！！
い、今！昴さん！ぜ、全裸なの！」


咄嗟にそんな嘘をついたけれど、しまった。と思った。


「ええー？裸ん坊でお姉さんとベッドで寝てるの？」

「風邪ひきますよおー？」

「…ホラ、あなたたち！
サラさんは起きてたんだから先に朝食会場に行ってましょ」


哀ちゃんとコナンくんだけが顔を赤くしながら子供達を宥めて向こうへ連れて行ってくれようとしている。

子供達の納得してなさそうな声が聞こえてきつつも、コテージのドアがパタンと閉まった。


「…あの子たち、帰って親御さんに変なこと聞かないでしょうね…」


教育上よろしくない光景を見せてしまった…と自責の念に駆られていると、ベッドの中から赤井さんが顔を出した。


「誰が全裸だ」

「あ、赤井さん！だって仕方ないで…っん…」


反論するわたしの口を塞ぐみたいに、赤井さんがキスをくれる。

ゆっくりと唇が離れると、赤井さんはわたしの髪を撫でながら微笑んで言う。


「好きだ」

「っ…」


わたしも大好き。
それを言葉にする代わりに、わたしからキスで返した。

あぁ。
今日も明日も明後日も、こうして赤井さんと朝を迎えられる未来がまた始まる。



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