【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第80章 Marry's Song ☆
今度は、はっきりと俺の名前を呼んだ。
そして俺の目を見て、唇がカタカタと震え、また涙をボロボロと溢している。
「…サラ…?」
「っ…ごめんなさ…っ…わたし、赤井さんのこと忘れるとか…最低だ…」
そう言いながら突然何度も謝るサラを見て、また淡い期待が胸を駆け巡る。
俺はもう一度サラの名前を呼んで、泣いている理由を確認しようとした。
「サラ?」
「1番、忘れちゃいけない人なのに…
大好きなのに」
その言葉で、確信に変わる。
「まさか…思い出したのか?」
「っ…」
サラは涙をこぼしながら頷いて、また何度もごめんなさいと謝った。
手が震える。
サラが俺のことを思い出してくれた。
嬉しさでうまく呼吸ができない。
サラが謝っているのに、もはや何と言っているのか頭に入ってこない。
気付けば俺の視界が歪んで、堪えきれずに思いが溢れた。
そしてそれをサラに見られないように、俺は力の限りサラを抱きしめた。
「サラ…」
「赤井さ…ごめんなさっ…ん…ッ」
未だ謝るサラの口をキスで塞いだ。
馬鹿…お前から聞きたいのはそんな言葉じゃないんだ。
サラとキスをするとすぐにわかった。
記憶を無くしている時の、少し遠慮がちなキスとは違って、以前の俺のことを求めて止まないキス。
受け身なのは同じでも、全然違う味がまた胸を狭くした。
そして唇を離すや否や俺から出て来たのは、ICUに入ったサラが目を覚ますのをひたすらに願っていた時、目を覚ましたらサラに伝えようと決心していた言葉。
「サラ…結婚しよう」
組織の件が片付くまでとか、そんなのはもう待てない。
一刻も早く、お前と家族になりたい。そう思ったんだよ。
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