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【R18】You belong with me 【赤井秀一】

第80章 Marry's Song ☆




赤井side


洞窟でサラを見つけた瞬間、あの時を思い出した。

サラのことが好きなくせに別れを切り出し、好きなまま彼女を手放していた頃。
安室くんの恋人になっていたサラと、偶然キャンプ場で鉢合わせた時のことだ。

あの時、いなくなったサラを大雨の中必死に探して、見つけた時は全身の力が抜けるかと思うぐらいホッとしたのを覚えている。

そして今回も、サラを抱きしめると全身の力が抜けるかと思うぐらいホッとした。

俺の腕の中でサラの身体は冷たく震えていた。
しばらく身体を強張らせた後、安心したように身を委ねたサラは、こう言った。


「…ねえ、赤井さん」

「ん?」

「こんなこと、前にもあった…?」


その言葉を聞いて、思わず目を見開いて固まった俺。
ついさっき俺が頭に思い浮かべた、お前が覚えているはずのない過去の2人。
まさか同じ場面が頭に浮かんでいるのか?

一瞬、そんな期待で胸がいっぱいになったがすぐに冷めた。
いや、冷ましたと言った方が正しい。

勝手に期待して、結局記憶は戻らない。という結果なら、俺は勝手にがっかりしてしまう。
それだと、サラに申し訳ない。

向き合うって決めたんだ。
過去の思い出は、俺が大事にしまっておくと決めたんだ。

そう、必死に気持ちを抑えながらサラを見つめていると、サラは俺の名前をぽつりと呼んだ。


「赤井さん…」


まるで、何かの問題に対する答えのように。

今、サラの頭の中は何が巡っている?
想像すら出来ず、ただ冷たくなっているサラの身体を温めるようにさすってやっていると、サラの瞳から涙が次々と溢れた。


「赤井さん」




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