【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第79章 約束のカケラ
赤井さんはわたしの右手薬指に持って来た指輪を通すと、わたしの身体をもう一度強く抱きしめた。
「全く…身体、冷たくなってるじゃないか」
赤井さんの匂いが鼻腔をくすぐる。
この匂い、どこかで嗅いだ…
この抱きしめ方、どこかで…
「…ねえ、赤井さん」
「ん?」
「こんなこと、前にもあった…?」
わたしのその一言に、赤井さんが目を丸く見開いてわたしを見た。
確かあれは、こんな風に無くした誰かからのプレゼントを雨の中必死に探していて
途中、なぜか動けなくなって…
座り込んで、ずっとある人のこと考えてた。
恋しいと思ってやまない人のことを。
そしたら、遠くからわたしを呼ぶ声が聞こえて…
あのとき、わたしを迎えに来てくれたのは…
わたしがずっと恋しく思っていた人は…
わたしがこんなになるまで必死に探すほど、大切な指輪をくれたのは…
「…赤井さん」
その瞬間、まるでアルバムを捲るみたいに頭の中で赤井さんとの時間が映し出された。
沖矢昴の姿で出会い、秘密を守るため監視すると言う名目で時間を共有するようになった。
2人で時間を過ごす中で、いつの間にかお互いに惹かれて
近づいて、求め合って、たまにぶつかって、好きで
恋人同士になって
好きで、好きで、愛しいが重なるほど怖くなって
夕暮れが残酷なオレンジの観覧車で別れて、恋人じゃなくなった。
それでも好きで、たまらなく恋しくて
離れても惹かれあって
また、愛してると言ってくれた。
そして、夕暮れが綺麗なオレンジの観覧車でこの指輪を証として贈ってくれた。
もう二度と、離れないと。