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【R18】You belong with me 【赤井秀一】

第79章 約束のカケラ




「大浴場だって!温泉だって!楽しみ!」


温泉なんていつぶり?!とテンションを上げて荷物を詰めるわたしをよそに、沖矢さんがソファーに腰を下ろしながらため息を吐いた。


「…楽しんできてください」

「あれ?沖矢さんは行かないの?」

「温泉はさすがに…変声機も変装マスクも非対応なので」

「そっか、たしかに。」


そう言うと、沖矢さんは変装のマスクを取り赤井さんに戻った。

そしてピッと変声機のボタンを押すと、わざとなのかわたしの耳元で囁いた。


「戻って来たら、寝かせないからな」


ドキッと無駄に心臓がバクバクと跳ねたわたし。
赤井さんを見ると、顔を赤くするわたしを見てしてやったり。というような顔をしてる。


「も、戻ってこないかもね!!」


恥ずかしさのあまり照れ隠しにそう言ったわたしは、バッグに温泉用の荷物を詰めてそそくさとコテージを出て行った。

ほんと、あの百発百中で女の子がドキッとすることをやってのける彼に狂わされっぱなしだ。

…以前のわたしなら、もっと余裕を持って反応できてたんだろうか…

婚約…してた?みたいだし、こんないちいちドキドキしてなかったのかな…

と、大浴場の脱衣所でそんな思い出せない過去に思いを馳せながらふと右手薬指にはめてある指輪を眺める。




「あれ…」

「?どうしたの?サラお姉さん」

「指輪…」


右手薬指にはまってるはずの指輪がない。

そうだ、元太くんをおんぶする時に外してポケットにいれてそのままだ。

すぐそのことを思い出してポケットに手を突っ込んだものの、手に当たるのはポケットの布のみ。


「うそ!無い!なんで…!?」

「何か落としたの?」

「わたしがいつも右手にしてる指輪、知らない?」


話しかけて来た哀ちゃんに、つい必死の形相で尋ねるわたし。

だけど、哀ちゃんが知っているはずもなく。


「ごめんなさい、覚えがないわ。」

「砂浜に落としたのかな…もしかしたら、あの洞窟でポケットに入れる時に落としたのかも」

「サラおねーさん?」

「ごめん、歩美ちゃん、哀ちゃん。
ちょっと探し物してくるから、温泉また今度ね!」

「えっ!お、おねえさん!」


わたしは脱ぎかけだった服をもう一度着直すと、一目散に走り大浴場をあとにした。




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