第79章 約束のカケラ

洞窟に到着して中を覗くと、広がっていたのは想像していた光景ではなかった。

てっきり、子供達3人で遊んでいるのかと思いきや、3人で座り込んで困った顔をしている。


「みんなー。BBQの準備できたよー！どうしたの？」

「あ！サラおねえさんー！」

「それが、元太くんが足を怪我してしまって」


光彦くんと歩美ちゃんは心配そうに眉を下げ、真ん中にいる元太くんに目をやった。


「ええ！大丈夫？」

「大丈夫だけどよお、歩いたらいてえーんだ」


そう言う元太くんの足を見てみると、確かに左足首が右よりもすこし腫れているようだ。


「捻挫かな…確か、博士が湿布待ってたと思うから戻って手当しよ？
わたしがおんぶしてあげる」


そう言って元太くんに背中を貸す前に、おんぶしやすいように右手の指輪外してポケットに入れた。


「はい、どうぞ！」

「悪いなねーちゃん」


そう言いながらも遠慮せずに背中に乗っかる元太くん。
小学生にしてはなかなかの重さだ。


「お姉さん力持ちだねー！」

「ま、まあ普通の女の子よりは力持ちかも」


まあ、諜報員現役時代は重い機材とか持って走り回ってたしな…
それでも足を洗ってしばらく経つからか、以前よりも筋肉量が落ちて重く感じる気がする。

平和慣れしたことを実感しながら、わたしは元太くんをおぶって沖矢さんたちの元へ戻った。


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