第79章 約束のカケラ

食材の準備も、火おこしも、テーブルのセッティングも全て完了し、博士はふぅ。とため息を吐きながら額の汗を拭った。


「さて、準備完了じゃ。
子供達は…」


キョロキョロと辺りを見渡す博士に、同じ「子供達」のはずのコナンくんと哀ちゃんがコップに烏龍茶を注ぎながら言う。


「あの子達なら、あそこにある洞窟で遊んでたわよ」

「ったくしゃーねぇなー。あの洞窟は、満潮になったら帰れなくなるぜ。」


2人が指差した先にあったのは、この海辺から少し離れたところにある洞窟。

どうやら、今の時間帯は潮が引いていて浜辺から徒歩で行けるそうなのだが、満潮になるとその道が海水で満たされ、海に浮かぶ洞窟になるらしい。

子供だから、きっと時間を忘れて遊んでいるんだろう。


「じゃあわたし迎えに行ってくるね」

「いや、僕が」


わたしが迎えに行くと立ち上がると即座にそれを静止するかのように沖矢さんが立ち上がった。


「大丈夫だよ。そこに子供たちを迎えに行くだけだし」

「いや、サラはここにいた方が安心だから」

「沖矢さんは博士と一緒に焼く係でしょ？
戻ったらすぐに子供達が食べられるように準備しておいてよ」

「…わかった。ただしくれぐれも気をつけて。」

「わかってます！」


心配症すぎる沖矢さんをそう言って諭し、わたしは子供たちを迎えに洞窟へと向かった。


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