第79章 約束のカケラ

子供達は続けて突っ込んでくる。


「付き合い出してかなり経ちますしねえ」

「昴のお兄さんならお料理も出来るし良い旦那さんになるよねっ♪」


それはそう。　って、納得してどうすんの！

と、1人心の中でノリツッコミをいれるわたしをよそに、沖矢さんは至ってシンプルに返事をする。


「まあ、それはちゃんと考えているよ」

「えっ…」


そうなの！？と彼を見るわたし。
もしかして、わたしたちって婚約までしてる関係だったの…？

わたしがいつも右手薬指にしてるこの指輪って、やっぱり赤井さんからプレゼントされたものなのかな…

なんとなくお守りみたいな感じでいつもつけてるけど…


わたし、婚約者のことを忘れちゃったんだ…
なんてひどいことしてるんだろう。


「そうなんだぁー！いいなぁ…歩美もいつかコナンくんと…」

「あっ！歩美ちゃんー！そんな想像しないでくださーい！」


大人に豪速球な質問を投げつけた子供たちは、気が変わるのもそれはまた高速で、気付けばまた海の方へ遊びに走って行った。


微妙な空気のまま取り残されたわたしと沖矢さん。


「…最近の子供は、ませているな」

「そうだね…」


わたしと結婚するつもりなの？
それは、前から約束してたこと？

なんて、聞きたいことはたくさんあったけど、何一つ聞く勇気が出ず、微妙な空気を残したままBBQの準備の残りを進めていた。

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