【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第77章 枯れない花 ☆
それにしても、なぜ突然沖矢さんがポアロに来たのか理由が知りたくて、2人の間に入るようにして尋ねた。
「お、沖矢さんどうしてここに?」
「仕事前にコーヒーをテイクアウトしようと。
でも、やめておきます」
「えっ?」
「失礼します」
そう言うと、沖矢さんは顔を背けてポアロを出ていく。
わたしはそれを慌てて追いかけた。
「ちょ、ちょっと待って!」
声で言っただけじゃ待ってくれず、路肩に停めてある車に乗り込もうとする彼の腕を、ぎゅっと引っ張ってようやく足を止めてくれた。
「沖矢さん!」
「なんです?」
「怒ってる?」
「そりゃあ、当然怒るだろう。
自分の好きな女が、別の男に触れられているところを見れば、誰だって怒る」
沖矢さんを演じることすら忘れ、赤井さんの口調でそう言う彼。
好きな女って…そんなストレートに言われると照れる。照れるけど嬉しくて思わず顔が綻んでしまう。
「怒ってるんだ」
「なんだ、嬉しそうだな」
むすっとしながら、かつわたしが嬉しそうにしているのが解せない赤井さん。
だってヤキモチでしょ?
嬉しいに決まってる。
「ねえ、赤井さん。
今日、何時に帰る?」
「19時までには」
「なら、ご飯作って待ってるね。
それで…今日はベッドでお酒飲むのやめる。
…やめるけど、夜更かししたい」
ストレートに抱いて欲しい。なんて口が裂けても言えないわたしは、また遠回しの表現で自分の思いを伝える。
赤井さんに伝わっているだろうか…?
沖矢さんは片目だけ見開いてわたしを眺めた後、ピンと来たのかフッと口角を上げた。
「…わかった。なるべく早く帰るよ」
そう言い残し、スバルを発進させこの場を立ち去った。
その車が小さくなるまで、ドキドキと高鳴る胸を抑えながら見送るわたし。
今夜が一生の思い出になりますように。
なんて、彼との大事な思い出全部忘れてしまったわたしが言うなと神様にツッコまれそうなこと、思ってた。
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