【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第1章 出逢ってしまったふたり
「うわぁああ」
突然手の甲から血が吹き出した男は、
持っていた拳銃を落としてその場に蹲った。
「なんだ?!誰だ!」
残り2人がわたしの方へ銃を向けるのをみて、
銀行の壁を使って宙返りをすると、弾はそれてわたしの頬をかすめた。
そのまま、1人の男のみぞおちに一髪、
喉仏に一発パンチを入れ、
あと1人 と、最後の1人の方へ向かおうとしたとき
「いい加減にしろ!!!」
と、最後の男は小さい女の子に銃を突きつけていた。
「それ以上動くと、撃つぜ」
その瞬間、わたしも男に銃を向けた。
「あなたが引き金を引こうとした瞬間、わたしはそれより早くあなたの頭に当てる」
「ほぉ…面白い」
人質になった女の子の母親の泣き声が、すぐそこにいるはずなのに何故か遠くに聞こえる。
誰かに銃を向けている時、いつもそうだ。
その時、しれっと1人片付けていた沖矢さんが、人質になった女の子を庇うようにして犯人に背を向けた
「誰だお前!」
男が驚いて、引き金を弾こうとした瞬間
パァン
わたしは男の手を撃ち抜いた。
そして、拳銃を下に落として蹲る男に馬乗りになりドコッ ドコッ と我を忘れたように殴り続けた。
「も、もう…っ許してくれ…っふぐっ」
命乞いも耳に入らず、ただ力任せに殴り続ける。
「止めろ」
そんなわたしを、後ろから沖矢さんが羽交い締めして止めた。
頭に血が上っていたわたしは、はぁはぁと荒れた息を整えながら
男にもう一度近づいて言った。
「二度とこんなオモチャを持とうと思うな。次はわたしがお前を殺す」
ギンッと睨んでそう言うと、男は恐怖で白目を向いて後ろに倒れた。
ちょうどその時、パトカーの音が聞こえて乗客達は嬉しそうな声をあげる中、沖矢さんが突然わたしの手を握り、走り出した。
「え?!」
「逃げるぞ。」
「な、なんで?わたしたち悪いことしてないでしょ?」
「あれだけ大暴れすれば、事情聴取は免れない。
身分証、持っているのか?」
焦りからか、沖矢さんではなく完全に赤井さんの口調になっている。
「持ってない…」
そうだ。その通りで、身分証持っていないわたしは事情聴取されるわけにはいかない。
沖矢さんはそれ以上何も言わずにわたしの手を引いて足早に車を止めている駐車場に向かった。