【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第76章 それを愛と呼ぶなら ☆
「あの、もしかして赤井さんとジョディさんって…結構親しかったりします?」
本当は付き合ってたりしましたか?と聞きたかったはずなのに、直接的な聞き方は避けて遠回りをしてしまう。
けれどキャメルさんは、あっさりとわたしが聞きたかったことの答えを放った。
「え?あ、あぁ。でも随分前の話ですよ。2人が付き合っていたのは。
まあ、赤井さんはモテますからねぇ」
「モテる…」
「ええ!任務のために近づいた女性とも結果愛し愛される関係になっていたし、アメリカには金髪美女のクセ強めな元カノもいますし。
まあそりゃあ、惚れますよね。あんなに格好良い人」
「…そう…だね」
なんだか、高まっていた気持ちが一気に引いたような、そんな感覚。
なんだ、わたしとだけ特別な関係だったわけじゃないんだ。
なんなら、こんなに近くに「過去の最愛の人」もいるぐらいなのね。
そりゃそうだよね。
かっこいいもん、彼。
たまたま最近付き合ってたのがわたしってだけで、わたしが格別に特別ってわけじゃない。
「サラさん?」
「これ、みなさんの分のコーヒー。持ってってくれますか?」
「え?えぇ。
赤井さんに会っていかなくていいんですか?」
「いいの。家で会えるし」
それだけ言うと、持っていたコーヒーのトレーをキャメルさんに強引に渡し、逃げるように階段を駆け降りた。
可愛くないな、今のわたし。
勝手に1人で舞い上がって、1人で冷めて。
そもそも彼との思い出を何一つ思い出せなくて、今のわたしにとって彼は最近新しく出会った男。
なのにどうして…
どうしてこんなに心がざわつくんだろう。
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