【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第75章 オレンジ
赤井さんと手を繋いで歩いた。
わたしの手より一回り大きくて、無骨で、だけどしなやかで綺麗な指。
ゆっくり握り返すと、何故か自分の手が少し震えていた。
こんな風に手を繋ぐのは、わたしが足を痛めたから?
ううん、わたしたち、本当は恋人同士だもんね。
赤井さんは、何も覚えていないわたしを、愛してくれている。
それなのに、何一つ思い出せない自分が情けない。
もしこのまま思い出せなくても、また新しくスタートするなんて、アリだと思う?
わたしがもし赤井さんを好きになれば、手っ取り早く恋人同士の関係に戻れるのだろうか。
それとも、思い出を忘れてしまったわたしは、赤井さんにとってはもう過去の女になるのかな?
彼の真意が今ひとつ掴めず、わたしはドキドキと胸をうるさく鳴らしながら、赤井さんの手をぎゅっと握って水族館を回った。
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