【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第75章 オレンジ
顔がみるみるうちに赤くなっていくのは、鏡を見なくてもわかる。
それを誤魔化そうと、ロックグラスに注いであったウイスキーをぐいっと飲み干したわたし。
「なんか、眠くなってきちゃった」
そう言いながらほてった顔を両手で覆い、酔っ払ったふりをしてベッドに横になった。
思えばこんな風に無防備に横になるのって、どうなんだろう。
赤井さんはゲイ。なんて嘘は初日でバレた。
けれどわたしは、赤井さんが手を出してこないのを良いことに、この絶妙に近い距離を保とうとしている。
なぜかって、赤井さんといると何だかとても落ち着くから。
胸が熱くなって、何度もきゅんとするのに、隣にいると安心する。
でもね、わたし知ってるよ?
わたしが寝静まった後、赤井さんは必ずわたしにブランケットをかけると、眠るわたしの髪を撫でてからベッドを降りる。
そして、朝までこのベッドに戻ることはないことも。
何度か寝たふりをしてたからわかるの。
その度に、わたしは何故かとても寂しい気持ちになる。
そんなことを思い返していると、また今日も。
寝たと思ったのか、赤井さんはわたしにブランケットをかけてベッドを出て行こうとしてる。
わたしは思わず赤井さんの服の裾をキュッと掴み、思わず呼び止めた。
「ねえ、どこ行くの?」
「…グラスを洗いに」
苦し紛れの嘘。
本当は、わたしをベッドに寝かせたまま違う場所に行くくせに。
まるで駄々をこねる子供みたいに、わたしは口を尖らせて言う。
「…やだ。ここにいて」