【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第75章 オレンジ
お前の1日を俺にくれないか
そんな歯の浮くようなデートの誘い方、赤井さんだから違和感無くすんなり受け入れられる。
むしろ彼なら格好良い、素敵だとすら思ってしまう。
デートだよね?
デートって思って良いんだよね?
元々恋人同士。けれどそれを覚えていないわたしは、分かりやすくこのお誘いにドキドキと胸を高鳴らせている。
ここ数日の日課になっているベッドの上での晩酌。
隣にいる彼を横目でチラリと盗み見た。
喉を鳴らしてウイスキーを飲む姿が何とも言えず色っぽくて、その喉仏に思わず見惚れてしまう。
ボーッと見つめていると、その視線に気づいた赤井さんがわたしを見て首を傾げた。
「どうした?」
「ううん?なんでも!あ、そういえば今日ね、いつもテイクアウトのコーヒーを頼むお客さんに、今度食事でもどうですか?って誘われたの」
「…どこのどいつだ」
「あー、名前はわかんないなー。
一度その人と、格闘技の話で盛り上がってね、その人も会社終わりに空手習ってるらしくて!」
笑いながらそう言ったけれど、赤井さんは心底面白くなさそうに眉を顰めた。
「格闘技の話なら、俺とすればいいだろう」
「赤井さんも格闘技やってるの?」
「あぁ。截拳道を」
身体つきが良いから、何かやってるんだろうなとは思ってたけど截拳道か!
自分の触れたことのない格闘技をやっていることに興味を持ったわたしは、赤井さんにずいっと近づきながら目を輝かせた。
「ほんと?!今度手合わせ願いたいなー!」
「残念ながらそれはできない」
「どうして?」
「好きな女に本気で殴りかかれるわけないからな」
そう言ってわたしの頭をぽんぽんと撫でる赤井さん。
好きな女って…サラッとなんて事言うのこの人は…
こんな風に髪を撫でられながら好きって言われると、単純なわたしはアッサリと胸が高鳴る。