【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第75章 オレンジ
「久しぶりだな。お前のハンバーグ」
「そう…なの?」
わたし、過去に何度か赤井さんにハンバーグを作ったことがあるんだ…
過去に作った時は美味しく出来た?
それとも、今みたいに黒焦げだった?
それすら、わたしは思い出せない。
「これ、食べられないから捨てるね?
今からお惣菜買ってくる…」
そう言いながら捨てようとしたわたしの手を、赤井さんが握って止めた。
「捨てなくていい。食べるから」
「でも…」
「腹が減っているから、何でも美味い」
「それ、無理して食べるってことじゃない!」
「冗談だ。お前の作るものなら、何でも美味い」
赤井さんは優しく微笑みながら、捨てようとしたお皿を奪い返すと、食卓へと運んで行った。
きっと過去もこんなふうに、黒焦げになったハンバーグを食べてくれたんだろう。
覚えていなくても、わかる。
赤井さんは、ああ見えて実は底無しに優しいから。
彼の後ろ姿を見て思った。
その優しさは、わたしだけ特別なものなの?
わたしだけ特別って思っても良いの?
*
*