【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第75章 オレンジ
ポアロのバイトが終わり、家に帰ったわたしはキッチンに立っていた。
目の前のフライパンの上に出来た黒焦げの物体を見ながら、絶望の呟きが口から漏れる。
「…失敗した」
今日はひき肉が安かったから、ハンバーグにしようと意気込み、今し方焼き上げてフライパンの蓋を取ったところ。
未だハンバーグだけは上手に作れた試しがないわたし。
今回も例によってちゃんと不味いハンバーグを作ってしまった。
「なぜ…ちゃんとレシピ通りに作ってるのに!」
頭を抱えながらも、もしかしたら最悪なのは見た目だけかもしれない。
と、味見をしてみるも、味もしっかり最悪。
「捨てよう…」
心の中でごめんなさいをしながら、それをゴミ箱へ入れようとした時、家の玄関が開く音がした。
あ、赤井さんが帰って来た。
そう思ったとき、LDKのドアが勢いよく開いた、
ガラッ
「サラ!!」
「はい!?」
ものすごい剣幕でわたしの肩を掴んだ赤井さんは、必死の形相で尋ねた。
「無事か?!どこか怪我をしているのか?!」
「し、してないよ?どうしたの?」
「家に入った瞬間、焦げ臭い匂いがしたから」
「ああ!ハンバーグ焦がしちゃって…」
とんだ勘違いをさせてしまったことを後ろめたいと思いつつも、わたしはお皿に乗った黒焦げハンバーグを赤井さんに見せた。