【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第74章 届かないから
目を閉じて、寝よう寝ようと何度も頭の中で繰り返し唱えるけど、雨音がだんだんと強くなっていくのが耳に飛び込んでくる。
早く寝なきゃ…はやく…早く…
そう思えば思うほど、ドクドクと動悸がしてきた。
そして、まだ目は覚めたまま、外に稲光が光ってすぐ
ドーーンッ!ゴロゴローー!!!
耳をつんざくほどの大きな雷の音がわたしの頭を思考停止した。
一瞬にして、わたしの頭に幼い頃の記憶がフラッシュバックする。
両親を殺され、その犯人から逃れるために必死で身を潜めた誕生日の前日夜。
「っは…っ…や…怖い…こわい…殺され…」
血で赤く染まったベッドに、真っ青に変わり果てた最愛の両親。
そして、なぜか頭に浮かんだのは銀髪
その犯人の顔が頭に浮かぼうとした時、わたしの体は全身で拒否反応を示し、思わず絶叫した。
「いやあぁぁ!」
なぜ??
今まで犯人の顔なんて見える気配は無かったのに。
いつもはその足音しか聞こえなかった。
なのに今、脳に浮かんだ記憶の中には間違いなく誰かがいる。
黒い服を着た誰かが両親の次にわたしを殺しに来る。
「たすけ…て…」
息が上がる。そして、全身から汗が吹き出して動悸が激しい。
怖い、怖い…誰か助けて…
息が できない
その時、誰かがわたしの身体を後ろから抱きしめた。
「いやっ!!や!離して!」
突然捕まえられてパニックになるわたしはジタバタと暴れるけれど、それよりも強くてたくましい身体がわたしを包み込み、後ろから声がした。
「サラ!落ち着け…!」
「っや…やあっ…ぁ…」
誰?あなたはわたしの味方?それとも…
わたしを殺しにきたの?
息を上手く吐けず吸うばかりになり、視界が飛びそうになったとき、わたしの唇に何かが重なった。
「っん…っ…」
何だろう。懐かしいような、切ないような、心地いいような…
うっすらと目を開けると、翡翠の瞳と目が合った。
それだけで、何だか安心して身体の力が抜けていくような感覚がしてた。
*
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