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【R18】You belong with me 【赤井秀一】

第74章 届かないから




赤井side


「赤井さんが居れば、怖い記憶が全部幸せな記憶にアップデートされるの。」


そう言って、俺に甘えてきたサラを思い出す。
俺の目を見て、赤井さんと名前を呼びながら身体に擦り寄るサラを抱きしめてやる愛しい瞬間。

それが今はまた、俺が抱きしめても混乱したまま離してと叫んだ。
まるで、出会った頃のように。
また振り出しに戻ったみたいだ。


人工呼吸という名のキスをしてサラの力が抜けていくと、ようやくおとなしくなった野良猫は俺の腕の中に身を預けた。


まさか、思い出してくれたのか?

そう思ったけれど


「ありがとう…ございます。
助かりました…」


息を整えながら、サラはゆっくりと俺の腕の中から身体を離した。

以前なら、甘えながら俺にひっついて離れなかったくせに。
それが無性に寂しくて、俺は思わず離れていくサラの身体をまた抱きしめた。


「?…あの…」

「……」


好きだ。
口をついて、その3文字が飛び出そうとした時
この甘く切ない絶妙な雰囲気をぶち壊すかの如く、サラの腹の虫が盛大に鳴り響いた。


ぐるるるるるる…


「……」

「お前…」

「だ、だって…何も食べてなくて」


顔を真っ赤にして恥ずかしそうにそう言うサラ。
けれど、身体を離そうとするのは諦めたらしい。
抱きしめられたまま徐々に力を抜き、コテンと俺の身体に身を預けて来た。


「おなかへった」


あぁ。敵わないな。
俺のことを覚えていなくても、たったそれだけで愛しいと思えてしまう。


「なら、つまみでも作ろう。晩酌に付き合ってくれ」

「…いいよ。でもベッドから出たくない。
ここで飲も?」

「そう言うと思った」


本当に、出会ってすぐをおさらいするかのようだな…
あの時は、互いの気持ちが互いに向かっていって重なったけれど、また、重なる時が来るんだろうか。

そう思いながら、俺はロッググラスに注いだウイスキーをベッドの上のサラに手渡した。

俺のことを思い出してくれ

そう念を込めて注いだ、ライウイスキーを


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