【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第74章 届かないから
安室さんが言った通り、帰宅してしばらく時間が経つと、大粒の雨が窓ガラスを叩き始めた。
「赤井さん、帰ってくるのかな」
ポツリと呟きながら時計を見るけど、今日はFBIの打ち合わせだと言ってた。
もうしばらく帰ってこないかも…下手をすれば今日は1人かも。
そう思いながら、シャワーを早々に浴びてベッドにゴロンと転がった。
昨日、このベッドで一緒に寝たけど、ドキドキして心臓が苦しかった。
男の人と至近距離に密着するのが久しぶりだったからって言うのもあるんだろうけど…
抱きしめられると、胸が熱くなって上手く息が出来ないのに何故か心地よくて。
添い寝って意味だから!なんて言ったけど、もしその先に進んじゃうなら、それもアリかなーなんて思った自分もいたほどだ。
まあ、気付いたら爆睡してたんだけど。
「わたし、赤井さんと…そういうことシテたのかな…」
あの赤井さんと。
想像しようとしたけれど、一気に恥ずかしさが押し寄せて来て脳はキャパオーバー。
枕に顔を埋めながら、もう早く寝ちゃおう。とジタバタしていたとき
ガチャリ
玄関のドアが開いた。
赤井さんが帰ってきた…?と、身体を起こしてリビングに向かおうとした時、それよりも素早くバタバタと足音が聞こえて寝室のドアが開かれた。
ガラッ
「起きてたのか」
「赤井さん、びしょ濡れじゃない!」
見ると赤井さんは全身ずぶ濡れ。
慌ててクローゼットからタオルを出して彼に手渡した。
「車で出てたんじゃなかったの?」
「工藤邸だから、徒歩で出ていた。」
そう言う赤井さんは、タオルを手渡すわたしの手をぎゅっと握った。
「???」
「シャワーを浴びる間、1人にして大丈夫か?」
あぁ、やっぱり赤井さんは知ってるんだ。
雷雨の日、わたしがどんなふうに取り乱すのか。
「大丈夫!何なら、もう寝てしまおうと思ってたところだし、気にしないで?」
作り笑顔でそう言って、赤井さんを寝室から追い出した後、また頭から布団を被って枕に顔を埋めた。