【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第74章 届かないから
RX-7に乗るのは久しぶりだ。
けれどわたしが乗っているのは助手席では無く後部座席。
「わざわざ後ろに乗らなくても」
「何言ってるのー?わたしだったら嫌だもん。元カノが助手席に乗るのなんて。
て言うか、同じ車に乗るのもちょっとやだし」
安室さんの元カノという立場上、今付き合ってる彼女に最大限配慮しなければ…!と言うわたしに、安室さんは片眉を下げて笑った。
「君の送り迎えをくれぐれもよろしくと言われてるんでね。」
「へぇ。安室さんって赤井さんと仲良しなんだ」
その一言に、今度はタレ目を吊り上げて怒り出す安室さん。
「はあ?!仲良くないですよ。むしろ逆です。大嫌いですから」
「そうなの?」
「…本当に覚えていないんですね。赤井秀一のこと」
大嫌いな赤井秀一と言ったのに、わたしが覚えていないと言う事実には、とても悲しそうな顔をする安室さん。
わたしだって、思い出したい…
気になるもん。周りからそんなふうに言われちゃうと。
赤井さんと、一体どんな時間を過ごして来たのか。
「そういえば、今日は雷が鳴ると天気予報が言ってました。
大丈夫ですか?」
「ん…大丈夫、早く寝ちゃうから」
自宅マンションに到着し、車を降りる時にそんな会話をした。
そっか、今日天気悪いんだ。
赤井さんに迷惑をかけないよう、早めに寝てしまわないと。
…赤井さんは知ってるのかな。わたしが雷ダメなこと。
付き合ってるんなら知ってるよね、当然。
いつも、どんな風にして過ごしてたんだろう。
わたしが取り乱した時、彼はいつもどんな反応をしていたんだろう。
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