【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第74章 届かないから
びっくりした…
あんなふうに抱きしめられたら、心臓がいくつあっても足りないよ…
あの後身体を離してテレビが終わり、シャワーを浴びてベッドに入った今。
まだ胸がドクドク音を立てているし、頬に触れると熱いまま。
こんな調子でこの生活続けられるのかな…
わたしの心臓、ドキドキしすぎで止まっちゃうよ。
ドキドキと言えば…
忘れていたはずの、さっきのTV番組のホラーシーンが脳裏に浮かんだ。
「思い出したくないのにー!!」
余計なことを思い出してしまったわたしの頭の中はホラーシーンで埋め尽くされ、寝ようと思っていたはずがどんどん目が開いてきた。
「どうしよう…怖くて眠れない…」
一旦、キッチンに行って水でも飲んで落ち着こう。
そう思ったわたしは寝室からキッチンへと向かう。
リビングの電気は消えていて、赤井さんはもう眠っているみたいだ。
どうしよ…電気つけたいけど赤井さん寝てる…
つけたら起こしちゃうかな。
でも暗いの怖い…
でも水飲みたいし…
そんなふうにオロオロしていると、突然後ろから手が伸びてきて、わたしの肩にポンっと乗った。
「いやぁああ!!!」
お化け!!!!!!!と驚いたわたしは叫びながら咄嗟にパンチを繰り出す。
「っと…落ち着け」
そのパンチを顔面から数センチのところでギリギリ受け止めながら呆れた顔をしているのは
「っ!赤井さん!!」
「まるで幽霊にでも遭遇したかのような反応だな」
「だって!突然肩叩くから!」
未だにドクドクと鳴り響く心臓の音をどうにか鎮めようと深呼吸をするわたしを見て、赤井さんは少し申し訳なさそうに眉を下げた。
「そんなに驚くとは思っていなかったよ。
すまなかった。
もう何もしないから、許してくれ」
そう言って、ソファーに戻って寝ようとする彼のシャツの裾を思わずギュッと掴むわたし。
「ん?」
「赤井さんのせいです!」
「?何がだ」
「今ので完全に眠れなくなったので一緒にベッドで寝てください!」