【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第73章 アイラブユーを探してる
病室のドアをガラッと音を立てて開けると、サラはベッドの上で身体を起こし、窓の外を眺めていた。
付き添ってくれていたジェイムズが、俺たちに気付いて言った。
「退院の日取りは決まったかね」
「ええ。」
それだけ言って、カタン…とベッドの隣のパイプ椅子に腰掛けた俺。
そんな様子見て、キャメルが無理に笑って言った。
「…じゃあ、私たちはそろそろ失礼しましょう。」
「…そうね。サラちゃんの意識も戻ったことだし。
ジェイムズも行きましょう」
「そうだな。」
「じゃあサラさん。お大事に。
また退院の日に顔を見に来ますので」
「えっ!キャメルさん?!
ジョディさん…ジェイムズさんも?」
そそくさと帰ろうとする3人を慌てて呼び止めようとするサラだが、出て行った後の病室のドアが容赦なくパタリと閉まった。
ぽつんと病室に残された俺とサラ。
お前が無事で良かったと抱き締め、サラも俺を抱き締め返す。
本来ならばそんな甘い空気が流れるはずの2人の間には微妙な距離感と沈黙が流れた。
サラは恐る恐る俺の顔を見ては、俺と目が合うとどうしていいか分からずにパッと逸らす。
何だ…その態度は。
頼むから、悪い夢なら早く覚めてくれ…
現実だと分かっているのに、どうしても夢であることを願わずにはいられない。
そんな俺に、サラが話しかけてきた。
「あの…」
「?どうした?!」
思い出したのか?!と言わんばかりに勢いよく返事をした俺を見て、サラは少し慄きながら苦笑した。
「わたし、大丈夫です。」
「??」
「あ、だから。大丈夫なんで帰ってもらって…」
馬鹿。全然大丈夫じゃないんだよ…
サラの表情、言葉、全てがチクチクと俺の心臓を刺す。