【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第73章 アイラブユーを探してる
サラの検査が終わり、病院の一室に集められた俺たち。
目の前のホワイトボードの上に、サラの脳のCTスキャンの画像が貼られ、医師が説明を始めた。
「CTを見る限り、脳への損傷は見られません。
おそらく、事故による一時的な健忘症と思われます」
「じゃあ、治るんですか?」
「…いえ。何とも言えません。」
「どう言うことだ」
思わず敬語を使うことも忘れ、俺らしくもない感情的な態度で医師に尋ねた。
医師は俺から目を離すことなく淡々と病状を説明する。
「もしかしたら明日、いや数分後には思い出すかもしれない。
ですが、このままずっと思い出せない可能性もゼロではありません。」
「…」
「そんな…嘘でしょ?」
絶句する俺の隣で、ジョディが肩を落として眉を下げた。
医師はあくまでも冷静に説明を続ける。
「記憶障害の症状としては、例えばここ数年の記憶が無くなったり、自分や周りの人間が全員誰だか分からなくなるなどが比較的よくみられるものなんですが、特定の誰かだけ忘れてしまうことは極めて稀。初めてのケースです」
「よりにもよって、赤井さんを忘れるなんて…
一番無くてはならない存在のはずなのに。
一体どうして…」
キャメルも泣きそうな顔をして俺を見た。
「日常生活は問題なく送れるため、身体の外傷のことを考えると恐らく来週には退院となると思います。
病状については、脳に損傷が無いとなると…脳外科ではなく心療内科へコンサルする必要があります。」
「心療内科…」
つまり、サラの記憶喪失は精神的なダメージから来るものなのか…?
俺だけを忘れてしまう心的ストレスとは一体…
これまでの当たり前が一夜にして様変わりしてしまった事実に呆然とする面々。