【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第72章 黒く、暗く
米花中央病院に着くと、エントランスによく見知った姿を見つけた。
「赤井さん!」
「ボウヤか。どうした?」
そこにいたのは、江戸川コナンくん。
小学校の帰りだったようでランドセルを背負っている。
「サラさんが攫われて、意識不明のまま見つかったって聞いて…
それで、目を覚ましたってジョディ先生が」
「ジョディ。このボウヤにはなんでも話すな、お前は」
「だって、コナンくん聞き上手なんだもの。
それに、いつも良いヒントをくれるからつい…」
そんないつものやり取りを繰り広げながら、俺たちはサラが移ったと言う一般病棟の病室へと向かった。
部屋の前にはジェイムズが待機しており、俺たちの姿を見つけて口を開く。
「赤井くん。ちょうど今さっき、この病室に移ってきたところだよ。
目を覚ますまで、手を握っていてあげなさい」
「勿論、そのつもりです」
そう言いながら病室の中に入ると、酸素マスクをつけたサラがベッドで眠っている。
時折、呼吸でマスクが曇る様子を見て、俺は心底ホッとした。
生きている。と。
俺はベッドのそばにあったパイプ椅子に腰掛け、サラの白い手を握った。
その手はほんの少しだけ温かく、またさらにホッと安心した。
サラが無事に帰ってきた。
生死を彷徨うほどの怪我はしたが、それでもこうして生きて俺の元へまた戻ってきてくれた。
そんな奇跡が嬉しくて仕方なく、ガラにもなく神様とやらに感謝を抱いたほどだ。