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【R18】You belong with me 【赤井秀一】

第71章 GIN




10年経った頃


俺の目の前に、履歴書のような書類が数人分並べられた。


「我々の組織と契約を締結した外部組織の諜報員だ。
次の仕事に使う奴を、誰でも好きなのを選べ」

「…俺は諜報員など不要だ。
自分でやる」

「まあそう言うな。
目を通すだけでもしてみてくれ。
気に入る猛者がいるかも知れない」


難色を示した俺に、その幹部は書類を押しつけたまま部屋を出て行った。

仕方なく、渡された書類に目を通す。

某国の傭兵部隊にいた経歴のあるもの
元空軍の司令官
経歴は様々、そして闇に落ちた理由も様々だ。

何気なくその資料をパラパラとめくっていると、俺の目に思いも寄らぬものが飛び込んできて、俺は思わず目を見開いた。


「こいつは…」


そこには、俺が10年前に殺した女と瓜二つの女の写真があった。

履歴書には
コードネーム ジェーン
そう書かれている。


まさか、あの時の子供…!?

思わずその経歴書を確認した。

対応できる任務の欄にはこう書かれている

「殺し以外ならなんでも」

俺が殺した人間の娘…
俺があるはずの未来を奪ったあと、こいつはどうやって生きてきたんだろう。


そう思いながら、俺はその資料を手渡してきた幹部に伝えた。


「ジェーンを指名してくれ」


それから、俺の仕事のときは、必ずジェーンを指名した。





何度か仕事をしたあとのこと
俺はジェーンがマンハッタンのとあるホテルのバーで酒を飲むのが任務の後の日課だと、組織の人間から聞いた。

気付けば俺の足は、そのホテルに向いている。

そして重たいバーの扉をゆっくりと開けると、カウンターに座る女が目に入る。

あれが、ジェーン…

あの時のあの少女…
俺が唯一殺せなかった人間

ゆっくりと近付いて、隣の椅子に腰を下ろした。


「ジェーン」


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