【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第71章 GIN
10年経った頃
俺の目の前に、履歴書のような書類が数人分並べられた。
「我々の組織と契約を締結した外部組織の諜報員だ。
次の仕事に使う奴を、誰でも好きなのを選べ」
「…俺は諜報員など不要だ。
自分でやる」
「まあそう言うな。
目を通すだけでもしてみてくれ。
気に入る猛者がいるかも知れない」
難色を示した俺に、その幹部は書類を押しつけたまま部屋を出て行った。
仕方なく、渡された書類に目を通す。
某国の傭兵部隊にいた経歴のあるもの
元空軍の司令官
経歴は様々、そして闇に落ちた理由も様々だ。
何気なくその資料をパラパラとめくっていると、俺の目に思いも寄らぬものが飛び込んできて、俺は思わず目を見開いた。
「こいつは…」
そこには、俺が10年前に殺した女と瓜二つの女の写真があった。
履歴書には
コードネーム ジェーン
そう書かれている。
まさか、あの時の子供…!?
思わずその経歴書を確認した。
対応できる任務の欄にはこう書かれている
「殺し以外ならなんでも」
俺が殺した人間の娘…
俺があるはずの未来を奪ったあと、こいつはどうやって生きてきたんだろう。
そう思いながら、俺はその資料を手渡してきた幹部に伝えた。
「ジェーンを指名してくれ」
それから、俺の仕事のときは、必ずジェーンを指名した。
*
*
何度か仕事をしたあとのこと
俺はジェーンがマンハッタンのとあるホテルのバーで酒を飲むのが任務の後の日課だと、組織の人間から聞いた。
気付けば俺の足は、そのホテルに向いている。
そして重たいバーの扉をゆっくりと開けると、カウンターに座る女が目に入る。
あれが、ジェーン…
あの時のあの少女…
俺が唯一殺せなかった人間
ゆっくりと近付いて、隣の椅子に腰を下ろした。
「ジェーン」