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【R18】You belong with me 【赤井秀一】

第71章 GIN




午前0時を過ぎた頃

俺はターゲットの自宅の前に立った。

黒い服、黒い帽子、黒い靴、全身真っ黒。
闇夜に紛れるように、漆黒を身に纏った。

自宅の灯りは消えている。
どうやらもう寝静まっている頃だろう。

家の間取りは、あの方からもらった資料に細かく書いてあった。
よくもまあこれだけ詳細に情報を集めたものだ。
よほど、この夫婦を消したかったんだとこれを見るだけで伝わってくる。


そのとき、ぽつ…ぽつ…と雨が俺の頬を濡らした。
雨か…

そう思った瞬間、ザーーーッとスコールのような大雨が降り出した。
合間には雷が落ちる音もけたたましく鳴っている。

窓からは諦め、玄関から侵入するか。
雨や泥で靴跡が残る可能性がある。


そう思いながら、俺は屋根がある玄関に身を隠し、ピンセットを使ってカチャ…と鍵の解除を始めた。

ものの10秒
呆気なく開いた玄関から、俺は中に侵入した。

中は至って普通の一般家庭
あの方とこの夫婦は、一体どう言う経緯で知り合ったんだ…

そんな疑問を持ちつつも、俺は銃を構えてゆっくりと足を進める。

そして、目的の寝室にたどり着き、ドアノブに手をかけると中の様子を確認した。

ダブルベッドで夫婦が仲良く眠っているのが見える。

俺が今から殺す人間がふたり。
たしかに今ここで生きていた。


フゥ

と浅く呼吸を吐いて、中に足を踏み入れた俺はそのまま自分の気が一瞬でも迷わないように、即座に片方の人間のこめかみにサイレンサー付きの拳銃を突きつけた。


引き金を引く瞬間、思わず目を瞑った俺の耳には、パシュッと言う消しきれない音が飛び込んでくる。

そして、鼻からは血の匂いがふわりと香った。


まずは1人目。
殺した奴の顔は、見れなかった。

バクバクバクと煩くなる心臓が、口から飛び出しそうだ。

あとひとり、あとひとり手にかける必要がある。

再度フゥと息を吐いたとき、隣で眠っていた今し方殺した男の妻が物音に気づいて目を覚ました。

そして隣に横たわる最愛の人間、冷酷な目をした俺、そしてそんな俺に握られた拳銃を交互に見ると、恐怖で顔が歪んでいく。

大声を出される…
そう危険を察知した俺は、即座にその女の口を塞ぎ、額に銃を突きつけた。



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