第9章 本能☆

「ふふ。すきー」


そう言ってふふふと笑うサラの寝言が、完全に安室くんに抱きつきながら言っている姿を彷彿させ、俺はもうこれ以上聞いてしまったらサラを叩き起こしてしまう。と考え、眠るサラを置いて、部屋を出た。


1階に戻ると有希子さんがオムライスを食べ終わっており、トランクに荷物を詰めているところだった。


「あら？秀ちゃん、眉間にシワが寄ってるわよ。
何か嫌なことでもあった？」

「いえ。別に」

「そ？じゃあわたしはそろそろ出るわね。
サラちゃんと仲良くするのよ？」


そう言って有希子さんはトランクを引き、タクシーを呼んで空港へと向かって行った。
有希子さんには見透かさせている気もするが…


そして家に入る瞬間、またサラと安室くんの絡みが俺の脳内で再生され、俺はまたガシガシと頭を掻いた。


「勘弁してくれ。」


そう呟き、俺は邪念を洗い流すようにシャワールームへ向かった。