【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第70章 悪魔の再会 ☆
そして、ジンはわたしの口を大きな手のひらで塞ぎ、銃口を額に押し付ける。
ジンが引き金を引くだけで、わたしの心臓は一瞬で止まるだろう。
殺される…
そう思いながらも数分睨み合った後、ジンはポツリと呟いた。
「その目、よく似ているな。お前の母親に」
そう言うと、ジンは馬乗りになっていたわたしから身体を離し、ベッドを降りた。
わたしも慌てて身体を起こし、ジンに尋ねた。
「知ってるの…?母を」
どうしてジンが…わたしの母を知ってるの?!
だって、組織に提出したわたしの履歴書はコードネーム表記で、出生については何も書いていないはず。
なのに、どうして?
わたしが子供の頃に殺された母を知っていると言うことは、わたしとジンが出会うずっと前に、母に会ったことがあるということ…?
困惑した思いでジンを見ると、ジンはわたしを真っ直ぐに見て、表情ひとつ変えずに信じられない言葉を放つ。
「ああ。俺が殺した」
オレガコロシタ
日本語なのに、日本語に聞こえない。
即座に理解が出来ない。
オレガコロシタ
おれがころした
俺が殺した
俺が 殺した
「うそ…」
「嘘じゃない」
「だって!あなたは…」
ジンは、殺した人間の顔を覚えているような人間じゃ無い。
そう言葉にしなくとも、わたしが言いたいことはジンに伝わったようだ。
ジンはフンと鼻で笑いながら続けた。
「あぁ。普通は覚えちゃいない。
10人目、100人目に殺した奴もな。
…覚えている理由はひとつ。
俺の初めての殺しだったからだ。
お前の両親が」
その言葉にわたしの心臓はまた大きく軋んだ。
わたしの両親は、組織の誰かの手によって殺された。
それは事前に掴んでいた情報だけど、まさかそれがジンだったなんて。
わたしの両親の仇はこんなにすぐそばにいたなんて。
両親を殺した憎い相手と、わたしは何度も身体を重ねていたの?
わたしの初恋の相手、タクミも両親と同じ方法で殺された。
どっちも、ジンがやったの?
いろんな感情が憎しみを増幅させていく。
そして身体がフルフルと震えながらジンを睨んだ。
「あなたが…あなたが!!!」
我を忘れたわたしは、一足飛びでテーブルの上にあった果物ナイフをガムテープで縛られた両手で逆手に持ち、ジンの首筋を狙って斬り込んだ。