【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第70章 悪魔の再会 ☆
言葉を交わすのは、わたしが組織を裏切った時に、ジンがわたしの右肩を撃ち抜いたあの夜以来だ。
震える声で、わたしはぽつりと言った。
「…どうして…」
「ベルモットが、お前のことを嗅ぎ回っていた。
単独で動かれると迷惑だったんで、俺が直々に引き取ってやったんだ。
お前は、俺の獲物だからな」
「…ちがう。
…どうして…
どうして、わたしまだ生きてるの?」
そう。
ジンに捕らえられる=絶対的な死だ。
そのはずなのに、ジンはわたしを殺さず、目が覚めるまで何もしていない。
「どうして、わたしを殺さなかったの?」
ジンの目を見て、そのシンプルな疑問をまっすぐに尋ねた。
あの時だってそう。
肩じゃなくて、心臓や頭を狙おうと思えば出来たはずなのに、どうして?
ジンは少し間を開けた後、不敵に笑いながらわたしの足を縛っていたガムテープを外して言った。
「お前にチャンスをやる」
「チャンス…?」
「あぁ。
…組織に戻れ」
「?!」
思いも寄らぬジンからのスカウトに、わたしは目を見開いた。
組織に戻れ?何言ってるの…
「俺達の組織と直接契約で、諜報活動に復帰しろ。
俺の、犬になれ。
…そうすれば、お前を殺さない」
「っ…冗談じゃない」
半分笑いながらそう吐き捨てた瞬間、
ドサッ…という音を立て、ジンはわたしをベッドに押し倒した。
ドクンッと心臓が嫌な音を立てて鳴り響く。
ジンが吸う独特なタバコの匂いと、無駄に広いホテルのベッドの固いシーツ。
そして、上からジンの長い髪が降ってくる。
あの頃、ジンと何度も肌を合わせたことを思い出し、吐き気がした。