【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第69章 守りたい人 ☆
「え…?」
「まだ呼ぶな」
「なんで?目を覚ましたらコールしてくださいって言われて…」
眉を下げてそう言うサラを黙らせようと、俺は唇をキスで塞いだ。
涙が唇まで伝っていたんだろう、少ししょっぱい味がした気がした。
「んっ…あ…かいさ…」
「ほら、大丈夫だろ?キスも余裕でできる」
「っ…!だめ!!!そんなの大丈夫な証明にならない!」
俺の渾身の冗談は通じることなく一蹴され、可愛い顔して怒ったサラは再びナースコールに手を伸ばした。
そしてナースコールを押してすぐに、看護師と医師が俺の病室へやって来た。
「赤井さん、分かりますか?
腕、動かせますか?」
「あぁ。問題無いです」
軽い問診と、聴診器で心臓の音をチェック、そして腕の経過を確認した医師は、
「大丈夫そうですね。
明日1日様子を見て、何ともなければ明後日には退院できますよ。
ただ、しばらくはギプスを付けてもらいますが」
「わかりました。ありがとうございます」
「はい。お大事に」
そう言って、医師たちは病室を出て行った。
「…よかったあ…」
「だから、言っただろ?大丈夫だと。
それに、利き腕じゃないから生活にもさほど支障はない。」
「ほんとに、わたしの心臓が止まるかと思った…」
「サラ。ちょっと…」
「なに?どこか痛む?」
そう言いながら心配そうに覗き込んできたサラの頭に左手を添え、俺はゆっくりとサラの唇を奪った。
ちゅ…
リップ音が2人きりの病室に響く。
「これで、治るスピードは100倍だ。」
「じゃあ、もっとしたら、1000倍にも1万倍にもなる?」
「なるよ」
そう言うと、サラは俺に何度も何度もキスをした。
俺が生きていることを確かめるように、何度も。
サラの涙が俺の頬に伝い、俺は思った。
あぁ。こいつがそばにいるうちは、俺もうかうか死なないな。
泣かせないと誓ったくせに、俺としたことが。
サラは泣き顔も可愛いが、笑っている方が可愛いから。
だから、俺は死ねない。
「サラ」
「なに?」
「お前が世界で一番大切だ」
そう言うと、サラはまた泣いた。
結局また泣かせてしまった。
*
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