【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第69章 守りたい人 ☆
赤井side
気付けば俺の身体はどこか知らない場所に運ばれていた。
意識を取り戻し、ゆっくりと目を開けると飛び込んできたのは見知らぬ天井の無機質な蛍光灯。
そして、その光を遮るように、サラが俺を覗き込んできた。
泣き腫らした目をしている。
まるで、俺がこいつに別れようと言った時の顔とそっくりだ。
「赤井さん!わかる…?」
「…サラ」
そう言って左手でサラの頬に流れていた涙を拭ってやると、サラはまたボロボロと涙をこぼした。
「っ…よか…っ…」
言葉にならない声でそう呟いたサラは、擦り過ぎて赤くなった鼻をまた手で擦った。
ああ、そういえば俺はこいつをベルモットの狙撃から守ったのか。
と、朦朧とする意識がだんだんはっきりとしてきてサラがなぜ泣いているのかもわかってきた。
「泣くなよ…大丈夫と言っただろ?」
「っ…ごめんね…わたしのせいで」
「…どこがお前のせいなんだ」
ああ、やっぱり自分が狙われていたことに気づいたのか。
サラがすでに気づいていることを悟りながらも、俺はとぼけてそう言いながら、左手でサラの頬を撫でた。
利き腕が無事なんだ。大したことない。
怪我をした張本人よりも深刻に捉えているらしい俺の彼女は、さっき拭いたばかりだというのにまた新しい涙を流しながら俺に詰め寄った。
「だって、狙われてたのはわたしでしょ??
わたしが、撃たれるはずだったのに…」
「…違う。…ただの通り魔だ。
お前が狙われていたわけじゃない」
「っ…じゃあ、どうしてあそこにいたの?!
どうして…正面入り口から出るなって…」
サラの予感は確信に変わっていて、これ以上ごまかしても仕方ないとはわかっていながらも、俺はまたサラの涙を拭いながら笑ってみせた。
「FBIのカン…かな」
「…バカ…
っ…先生呼ばなきゃ…」
そう言ってサラがナースコールに手を伸ばしたところを、俺は咄嗟に左手で止めた。