【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第68章 忍び寄る黒い美女 ☆
何と話が早い小学生…いや、高校生なんだ。
と、内心感心しながらも、俺はボウヤにカメラ、盗聴器と器具が入ったバッグを手渡した。
「悪いな。登校前にこんなことを頼んで」
「ううん?赤井さんには、いつもお世話になってるから!」
突然子供らしい口調と子供らしい笑顔で笑ったボウヤは、そのバッグを抱えてスバルから降り、ポアロのドアを開けた。
しばらくすると、俺のイヤホンに店内の音声が飛び込んできて、タブレットでアプリを開くとちゃんと映像もキャッチ出来た。
ボウヤに
「成功だ。感謝する」
そうメールを送った後、俺はその映像と音声に目と耳を傾けた。
思えば、こうしてサラが働いている姿をじっくり見るのは初めてだな。
一度海の家で働いているのを見たことはあるが、あの時はサラの働きっぷりと言うより、別のところが気になって仕方なかったから…
そう思いながら、笑顔で客と話しながら談笑するサラの姿を、画面上で撫でた。
「ちゃんと、出来てるじゃないか。
偉いな…」
俺まで嬉しくなった。
サラはもう、ただの女だ。
普通に働いて、普通に友達と遊んで、普通に恋をする。
サラの両親が望んだ人生を、きっと歩き始めている。
帰ったら、サラを思いっきり抱きしめてやりたい。
そう思いながら俺は、ポアロの近くに車を停めたままずっと、サラの働く姿を目に焼き付けていた。
*
*