【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第68章 忍び寄る黒い美女 ☆
「送ってくれてありがとう。
じゃあ、行ってくるね?」
俺は、助手席から降りてポアロの店内に入ろうとするサラを呼び止めた。
「サラ。
今日、仕事が終わるのは何時だ?
迎えにくる」
「えー?
1人で帰れるよ??」
「何時だ?」
有無を言わさずに退勤時間を聞き出そうとする俺に根負けして、サラはぽつりと呟いた。
「…14時」
「了解。10分前には前に車を停めて待ってる」
そう言いながら、少しだけ納得していなそうなサラをポアロへと送り出すと、そのままボウヤが学校に行くために自宅を出てくるのを待った。
しばらくすると、蘭さんとコナンくんが階段を降りてきて、スバルの前を横切った。
コナンくんは俺の車に気付いたらしく、蘭さんに忘れ物をしたとでも言ったんだろう。
あははと笑いながら誤魔化して、こちらへ向かってきた。
スバルに乗り込んだボウヤに、俺はサングラスを少しずらしながら話す。
「赤井さん。どうしたの?朝早くから。
しかもその姿で…」
「ちょっと君に相談があってな」
そこまで言うと、俺が言おうとしていることを瞬時に理解したらしい。
ボウヤは真剣な面持ちで俺を見た。
「…僕も聞いたよ。昨日、安室さんに。」
「ポアロで働いている以外の時間は、俺が付きっきりでサラを守る。
けれど、ポアロで働いている間ずっと張り込んでいるとサラが不審に思うだろうし、ベルモットにもこの車を印象付けてしまう。」
「…サラさんには、狙われていること話してないの?」
そう聞かれ、俺は自分の心の内を素直に話した。
「あいつには、普通の生活をさせてやりたい。
無駄に不安を煽るような話はしたくない。
やっと、人間らしくなってきたんだ。
人との接し方が分からないと戸惑っていた最初の頃とは違って、よく笑うようになったし友達も出来た。
あいつの今を壊したくない」
「…うん。よく分かるよ…
灰原と同じだね」
「ただせめて、ポアロで働いている間の音声と映像が欲しい。
だが、今ポアロに俺が入るのは…」
「うん。ボクが仕掛けてくるよ!
小型カメラと盗聴器でしょ?貸して?」